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「思想しつつ生活しつつ」

怪しげなタイトルで失礼します(笑)。でも実はアヤしいものではなく、祖母→母→私と3代受け継がれている羽仁もと子さんの著作集の一冊のタイトルです。羽仁もと子さんという女性は1873年生まれの昔の人ですが、当時とても珍しかったであろう職業婦人で、新聞社で記者をしていたそうです。「婦人の友」という雑誌を刊行したり、「自由学園」という学校を作ったりした人です。(自由学園は、ライトの設計であることでも有名です。)
羽仁もと子さんはとても合理的な考え方の女性で、昔の人の書いた内容だというのに、全く古臭さがないのに驚きます。女性をとりまく環境は実は今も昔も大して変わっていないのかな、と考えさせられます。

さて、この「思想しつつ生活しつつ」、母の好みで私の手元には中巻だけあります。が、実は3冊に分かれているそうです。この中巻は、「人生について」羽仁もと子さんの思いが綴られています。現在、こういった「生き方」をテーマに取り扱う本では、「How to本」がとても多い気がします。ターゲットを絞って、その目標に最短距離で到達するにはどうしたらいいか?自分が損することなくやるには?といった「競争タイプ」の本が多い気がします。

そんな中にあって、この「思想しつつ・・・」は人生を歩むことの大切さをじんわりと語ってくれる、とても貴重な内容だと感じます。人間とは、普通に生活するだけでも悩むことは避けられない生き物のようです。人生について、日々の暮らしについて、世の流れについて、自問自答、悩める友へ向けての羽仁もと子さんの優しく厳しい言葉が連なっています。

近頃ニュースで耳にするのは、若くして自らの命を絶つ人たちのこと。とても辛く悲しいことです。そのような選択をせざるを得なかった人たちの心を思うと、やるせない思いです。
ああ、もっと自分を、自分の人生を見つめる機会があったなら。もっと自分を好きになる機会があったなら。もっと生を感じる時間があったなら。全てがスピーディな世の中だけど、足元を見る余裕があったなら。変わらない何か、そんな何かが大切なのかなって感じます。羽仁もと子さんの言うように、それぞれの人が、それぞれに思想しつつ生活することが出来たら、私たちの人生はより豊かで温かなものになるんじゃないかって思います。
・・・そんなことをつらつら思いながら、ふとブログにアップしてみたくなりました。
by rufus-creek | 2006-11-22 19:43 | ルフュママ
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